タイの自動車市場で、世界のトヨタが苦戦している。今年1月~4月まで4カ月間のトヨタのタイ国内新車販売台数は16万1234台(トヨタ・モーター・タイランド調べ。以下同)で前年同期比9000台ほどの微増ながら、シェアは10ポイント以上も落とし30.8%となった。
代わって勢いに乗っているのが、一昨年の大洪水被害で工場が半年にわたり操業不能となったホンダ。乗用車に限ればトヨタを上回る30%以上のシェアを一気に確保し、現時点で独走態勢にある。トヨタとホンダにいったい何があったのか。
ホンダが独走態勢
今年3月末~4月初めに開催された東南アジア最大級の自動車展示会「バンコク・インターナショナル・モーターショー」を訪れた日系自動車メーカーのある幹部は、トヨタの展示ゾーンをみて唖然(あぜん)とした。
展示してあったのは真っ赤なメタリック色に燦然(さんぜん)と輝くトヨタの新型小型車「ヴィオス」(排気量1500cc)。「一瞥(いちべつ)しただけでホンダ・シティのデザインをまねしていると分かった」と、この幹部は断言する。