自動車関連税綱引き 業界団体が会見 「軽」増税狙う政府を牽制

2013.11.16 15:25

 年末に行われる平成26年度税制改正協議で、自動車関連税制の見直しが焦点に浮上している。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)ら自動車業界首脳は15日、都内で共同記者会見を開き、来年4月の消費税増税に併せて自動車取得税の減税など負担軽減策を講じるよう求める要望書を発表。一方、政府は軽自動車税の増税を検討しており、双方ともアクセルを緩める兆しはみえない。(田辺裕晶)

 国内の全産業の中でも最多の就業人口を抱える自動車業界。その浮沈は安倍晋三政権の目指す景気回復やデフレ脱却の成否を大きく左右するだけに、業界は強気だ。豊田氏は記者会見で「関連税が軽減されずに消費税が増税されれば、国内販売は落ち込み経済や雇用に深刻な影響を与える」と述べ、政府サイドに露骨な牽制(けんせい)球を放った。

 要望書では消費税率を8%に引き上げた段階で取得税の3%減税やエコカー減税拡充などの減税策を実施し、税負担を相殺するよう要求。また、軽自動車税の増税についても、全国軽自動車協会連合会の松村一会長が15日の記者会見で「庶民や零細事業者を直撃する」と反対を表明した。

 なりふり構わぬ“圧力”の背景にあるのは、かつての苦い経験だ。消費税率が3%から5%に引き上げられた9年度、国内の新車販売台数は年間101万台も減少した。自工会の試算では今回、対策を講じずに税率が8%に上がれば販売台数は58万台減少し、17万人の雇用が失われるという。

 すでに業界挙げての運動の成果も現れている。25年度税制改正大綱では、消費税が10%に上がる27年10月に、自動車取得税を廃止する方針が明記された。

 ただ、消費税8%段階の負担軽減策は決まっていない。総務省は取得税廃止で失う年間約1900億円の代替財源を確保するため、同じ地方税で、しかも自動車関連税である軽自動車税の増税を検討中。麻生太郎財務相は15日の記者会見で「(軽自動車に比べて小型車の保有税が)いくら何でも水準が高すぎる。(軽自動車との)差をどうするかについては目がいくところ」と述べ、見直しが必要との認識を示した。

 自動車業界の分断を招きかねない見直し検討に、日本自動車販売協会連合会の守川正博会長は「負担のすり替えだ」と反発を強めている。

 ただ、自動車関連税以外の代替財源を確保するのは困難な状況だ。さらに消費税増税ですべてのモノの価格が上がるなか、「自動車だけを優遇するわけにはいかない」(財務省幹部)との意見は根強い。年末の税制改正協議では国、地方、業界が三つどもえの激しい議論を繰り広げそうだ。

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