製紙5社が手がける主な新規事業分野【拡大】
国内製紙メーカーが、本業である洋紙や板紙事業以外の業容拡大を急いでいる。少子高齢化やインターネットの普及によるペーパーレス化の進展などで市場は成熟化。紙・板紙事業だけでは立ち行かなくなりつつある厳しい現状を踏まえ、新たな収益源を育てる必要性に迫られているからだ。
野菜工場など事業化
「もはや製紙企業ではない」
最大手の王子ホールディングス(HD)が5月28日に開いた経営説明会。グループ経営理念の冒頭に掲げられたのは、こんな一文だった。
刺激的なメッセージについて武田芳明常務は「急激な業容変化の中で、企業としてよりどころにすべき価値観について見直す」と説明。成長戦略として、中核事業の深耕・深化、新規事業分野の開拓に注力する。
中核事業とは、紙の他に電気自動車に搭載されるコンデンサー用高機能性フィルムやスマートフォン(高機能携帯電話)に使われるタッチパネル用部材などで、生産能力を増強し、新製品開発も強力に推進。レーヨン向けに使われる溶解パルプの生産設備が5月に稼働し、今後は食品添加剤や医療品材料といった特殊用途に向け、高付加価値化を進めた製品を2015年度にも投入する。