□エレクトリフィケーションコンサルティング代表 和田憲一郎
この会議の「さばき方」うまいなぁ!
会議に出席していてそう思ったことはないだろうか。会議では、込み入った内容の場合、部門間で意見が異なり、利害が対立して紛糾することがある。議長もしくは他の方から、論点を明確にし、今後の方向性を示唆する言葉が出てきたとき、思わず「うまい!」とうなってしまうこととなる。
そこには、論陣を張って自らの主張を展開するだけでなく、他の方の意見も良く聞き、利害得失を勘案しながら、全体を俯瞰(ふかん)して落としどころを探し、議事を進行する姿がある。
◆「人心の統合を」
ところが、一般的にエンジニアはそういうことが苦手であるがなぜか。私自身もそうだったが、次の傾向があると考える。
・データで相手を説得しようとする。
・相手からもデータが提示されると、お互いの欠点・誤りを指摘しあい平行線となる。
・仮説に基づいた提案にもかかわらず、数字を重要視する。
・相手の譲れそうなところを察知せず、自らも譲れるところを想定していない。
・自分の立ち位置である局面で判断しようとする。俯瞰した全体像、時間軸も含めた見方で考える傾向に乏しい。
これは、エンジニアにとって、データなど論理的であればすべて理解していただけるはずと思い込みによるものが多い。ところが、谷岡一郎氏『データはうそをつく』ではないが、データも見方、切り口によっていろいろ変わるものであり、参加者すべてが信用しているとはかぎらない。このため、上記アプローチで攻めている限り、どうしても偏った見方と思われてしまうのである。