会見で顔をゆがめる日銀の黒田東彦総裁=4日午後、日銀本店(大西史朗撮影)【拡大】
日銀は4日、金融政策決定会合を開き、現行の金融緩和策の継続を決めた。黒田東彦(はるひこ)総裁は会合後の会見で、消費税増税後の個人消費の落ち込みを「一時的な要因によるもの」とし、景気回復の先行きに自信を示した。また、消費税率の10%への再引き上げの先送りは「リスクが大きい」と懸念を表明し、予定通り来年10月に増税すべきだとの考えを示した。
先月下旬以降に発表された経済指標では、増税後の景気回復のもたつきが浮き彫りになった。7月の家計調査では、実質消費支出が前年同期比5.9%減と、6月よりマイナス幅が拡大した。
黒田総裁も「自動車や家電といった耐久消費財は駆け込み大きかった分、戻りが遅れていることは確か」と認めた。輸出や生産も勢いを欠いている。決定会合後の公表文は、住宅投資の景気判断を「反動減が続いている」と下方修正した。
ただ、日銀は雇用・所得が改善する中、反動減は薄らぎ、天候不順などの一時的要因がなくなれば「先行きは緩やかな回復基調を続ける」(黒田総裁)とみる。
消費が落ち込めば企業が製品の生産水準を落とす懸念がある。実際、7月の鉱工業生産指数は前月比0.2%増と低調だった。