世界のスマートフォン市場では今、低価格を武器に中国メーカーがじわじわとシェアを拡大している。首位を走ってきた韓国のサムスン電子や日本勢のソニーも販売が減速しており、成長市場のスマホでも地殻変動が起こっている。
「腕時計型端末のイメージを根底から変える」。9日、カリフォルニア州で開いた新製品発表会で、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、アップル・ウオッチの革新性やデザイン性をアピールした。
アップルはスマホの大型画面化に遅れ、米調査会社IDCの今年4~6月期の出荷台数シェアが12%まで低下。4年ぶりの新製品となるアップル・ウオッチは、危機感の表れでもある。
一方、存在感を増しているのが中国メーカーだ。世界シェアで昨年5位だった華為技術(ファーウェイ)が3位に浮上、4位の聯想集団(レノボ・グループ)もシェアを伸ばしている。「赤いアップル」と呼ばれる小米科技(シャオミ)も、斬新なデザインで若者の人気を集める。
中国メーカーに苦しめられているのはサムスンも同様だ。今年4~6月期の連結決算は9年ぶりの減収となった。ソニーも、スマホの販売台数見通しの下方修正を強いられた。
中国メーカー躍進の要因は、何と言っても低価格。約14億人の巨大市場を武器に、人件費の安さやボリューム勝負ができる。
同じ構図は、かつてのパソコン市場でも見られた。米IBMや東芝などが世界シェアの上位にいたが、製造コストの安さや生産規模で中国や台湾メーカーに抜かれ、失速した。スマホでも中国メーカーが薄利多売の競争を仕掛けている。
アップルは今回、大画面化したアイフォーンと腕時計型端末を投入したが、サムスンやソニーも同様な動きを見せており、差別化が難しい。中国メーカーも台頭する中で、これまで通り確固たるブランド力を武器にシェアを押し上げられるか、これから試される。(黄金崎元、ワシントン小雲規生)