サッカー日本対ホンジュラス戦の前日練習に臨む長谷部誠選手=11月13日、愛知県豊田市【拡大】
□エレクトリフィケーションコンサルティング代表・和田憲一郎
翻訳と聞けば、英訳などと思った方がいるかもしれないが、そのような外国語と日本語との話ではなく、日本人同士でも翻訳が必要な場面はたくさんある。例えば、上司から指示があったことを、そのまま配下の人に伝えたらうまく伝わるだろうか。その多くは勘違いされたり、無視されたりとなかなか伝わらないことは多いものだ。
今回はこのように上下のコミュニケーションが大事といわれているが、実際にはなかなか伝わらない、その理由について考えてみたい。
◆トップの考え方を徹底理解
例えば、上司から「この仕事を今週末までにやってくれないか」と頼まれたとする。それを理解して配下に伝えたとしても、簡単な仕事ならいざしらず、少しややこしい仕事はたちまち消化不良を起こしてしまう。
この場合、2つのことを考える必要がある。
1つは、真に上司の言いたいことを理解できているかである。上司は自分の目線で指示を出しており、言いたいことは相手が全て分かっていると思っている。ところが、実際は断片的な指示のため、真意を理解していないことが多い。特にエンジニアでは専門知識のレベル差や、視野の広さの違いなどにより、理解不足が起こりやすい。
その時、分かったふりをしてそのまま受けるのではなく、例えば「どのような背景からそう考えたのですか?」「指示された内容はこれで合っていますか?」などと、背景や指示内容を確認することにより、より肉付けしたものを得られることが多い。また、日頃から上司の考え方やモノの見方を観察し、理解しておくことも大切である。最悪のケースは、勝手に推測してしまうことであろう。
2つ目は、配下はどのようなレベルまで理解してもらえるかを推し量らねばならない。そのまま伝えても良いレベルか否かである。ダメな場合は、かみ砕いてなぜ今これをしなければならないのか、背景や具体的な行動に移せるまで翻訳を行い説明していくことで、ようやく理解に近づく。