日本を代表する大手商社、三井物産が社内序列32人を飛び越えてトップに54歳という若さの安永竜夫執行役員を起用するサプライズ人事を発表し、年功序列重視の日本企業の新たなモデルとして注目を集めている。財閥系企業での執行役員からの抜擢(ばってき)は異例中の異例、しかも1959年に現在の三井物産として再スタートして以来、最年少社長となる。交代劇の舞台裏を追った。
人気漫画「島耕作」シリーズの主人公の上司、中沢喜一部長が「35人抜き」で社長に就任する場面をご記憶の人も多いだろう。「山下跳び」と呼ばれた松下電器産業(現パナソニック)の3代目社長、山下俊彦氏による1977年の「25人抜き」がモデルとされるが、三井物産が4月1日付で実施する今回の人事は抜きの数では、これを上回る。
ホテルで説得
1月15日午前7時前。ノートだけ持ってくるよう飯島彰己社長から指示された安永氏は、本社の近くのホテルに急いだ。社長後継指名の場面といえば社長室がお決まりだ。飯島氏がホテルを選んだのは、社長人事をめぐり激しさを増すマスコミの夜討ち朝駆け攻勢から逃れようと、ホテル住まいを余儀なくされていたためだ。