日立製作所が初公開した英国向け高速鉄道車両=山口県下松市の同社笠戸事業所【拡大】
【革新 日立の“復活”】(上)自律分散型クローバル経営
大英博物館やセントポール大聖堂からほど近い英ロンドンのオフィスビル。現代的なレンガ造り風のビルの7階に、日立製作所の鉄道事業を束ねる「日立レールヨーロッパ」がある。鉄道事業のグローバル最高経営責任者(CEO)、アリステア・ドーマーは飛行機で片道約2時間という地の利を生かし、昨年秋から毎週のようにイタリアを訪れた。伊防衛・航空大手フィンメカニカの鉄道関連事業を買収するためだ。
イタリアで150年余りの歴史を持つフィンメカニカの鉄道関連事業買収には日立のほか中国企業も名乗りを上げ、激しい買収合戦となった。2014年4月に国内外の鉄道事業の本社機能をロンドンに移管した日立は、交渉の全権をドーマーに委ねた。
日本の日立本社が指揮を執る従来の態勢では、意思決定のスピード感や物理的な距離の溝は埋められない。日立は本社が全ての意思決定を行う手法を転換し、地域や事業分野に応じて本社機能を“移管”しつつある。