インターネット検索大手のヤフーは30日、プライバシー侵害に当たるとして検索結果の削除要請を受けた際の対応方針を公表した。透明性を高めるため昨年11月に設置した有識者会議の検討結果を受け、基準を明確化。重大な権利侵害が懸念されるウェブページはリンク情報自体を表示しないようにする一方、欧米で議論が高まっている「忘れられる権利」に関しては法制度の違いなどから踏み込まなかった。
同基準では、リンク自体を非表示にするのは、個人の生命・身体に危険を生じさせる可能性が高い情報やプライベートな性的動画像などが掲載されたウェブページ。
それ以外は情報の公益性や個人情報保護の観点から判断し、検索結果として表示されるウェブページの題名や概略の一部を非表示にするといった措置をとるという。
有識者会議委員長の内田貴・東大名誉教授は「一義的には、検索事業者の前に(ウェブページを管理する)直接表現者とプロバイダーが対応すべき問題」と指摘。一方で、前科や逮捕歴といった過去の違法行為などの「忘れられる権利」については、「既存のプライバシーの枠組みで判断しながら今後も議論していくべきだ」と述べた。
同社によると、基準を明確化し公表するのは国内の検索事業者で初めて。別所直哉執行役員は、グーグルやマイクロソフトを念頭に、「将来的に同じ基準になるのが望ましく、事業者同士で話し合いたい」と会見で述べた。