パソコン上で画面を操作するだけで商品を購入できる電子商取引(eコマース)の国内市場規模が11兆円超に達している。市場はさらに広がる様相を見せているが、商品を大量に購入して捨てる消費行動に疑問を持つ人もいる。合同会社の「続(つづく)」が運営する「にっぽん てならい堂」では「日本一不便なネットショップ」として、物語性のある高付加価値商品を販売している。中村真一郎・最高経営責任者(CEO)は「現地に出向いて直接作り手に会うことで、ものに対する愛着が湧く」と話す。
--どのようなネットショップなのか
「商品をネットショップで購入すると直接自宅に届くので便利だ。しかし製造には、大変な手間と時間がかかっている。作る側とのギャップがあまりにも大きいため、買う側も苦労して手に入れる必要があるのではないかと思った。そこで購入を申し込んでから製造現場に行って工程を見てもらった上で、自ら作業をしてから、ようやく受け取れるショップを立ち上げた」
--構想を得たのは
「前職はインターネットサイト運営を手掛けるベンチャーで、通販事業責任者を務めた。ものづくりにこだわりを持つ全国の中小メーカーや職人の商品を取り扱った。知られざる逸品を発掘するために全国を巡ったが、ものづくりの現場は厳しい状況に置かれていた。『何か手伝えることはないか』と尋ねると『人を連れてきてほしい』と返ってきた。どうすればいいか考えて、ものづくりを体験してから商品を手に入れる、今のビジネスモデルを構想した」