美と豊かさの象徴であるジュエリー。しかし発展途上国の採掘現場では児童労働や環境汚染が問題視され、食べるだけで精いっぱいの貧しい生活を強いられている人々がいるという一面もある。そういった厳しい現実に疑問を感じ、「エシカルジュエリー」という新しい概念を日本で広めたジュエリーメーカーが、HASUNA(ハスナ)だ。白木夏子社長は「ジュエリーに関わる全ての人が幸せになってほしい」と理念を語る。
全ての人が幸せに
エシカルとは英語で倫理的という意味。ジュエリーの原料となる鉱物が、過酷な労働が課されることなく環境に配慮して採掘され、適切な取引によって商品として消費者に届くことを目指している。
社名のHASUNAは、泥の中から水面に向かって美しい花を咲かせる蓮のように、ジュエリーを通じて正当なビジネスをつくるという思いを込めた。
自ら南米やアジアの鉱山に足を運んで、児童労働などの人権侵害や環境汚染がないか視察する。その上で鉱山労働者を支援しているNGO(非政府組織)や財団と適正な価格で取引している。
自分がつくったジュエリーが、どのように使われているか知らないで働いている人も多い。現地に足を運んだときには、商品を身につけている人の写真を見せている。職人や労働者は自らの仕事に誇りを持ち、意欲的に取り組むようになる。
徐々にブランドの認知度も高まりつつあるが、エシカルという側面だけを声高に訴えてはいない。
商品そのものに魅力がないと、社会に貢献しても買ってもらえないからだ。そのため「デザインや加工に改善を施して美しさに磨きを掛け、完成度を高めている」と企業努力を欠かさない。