日産自動車のカルロス・ゴーン社長は15日、資本提携する仏ルノーの筆頭株主であるフランス政府が日産の経営に介入しないとした合意について、「重要な節目だ。(日産とルノーが)対等なパートナーシップを維持する精神が明文化された」と述べた。日産に対してルノー株の買い増しなどを認めた合意を評価した。
産経新聞などのインタビューに答えた。仏政府は、保有期間が2年以上の株式について、議決権を2倍にする法律を制定した。来年4月にはルノーへの議決権も28%程度に拡大する見込みだ。ルノーを通じて、日産にも仏国内の雇用維持を求めるなど、経営関与への懸念が高まっていた。
ルノー最高経営責任者(CEO)も兼務するゴーン氏は、「提携は力関係ではない。日産に対してルノーは43・4%を出資しているが、経営に干渉する気はない」と強調。日産とルノー、仏政府が結んだ合意では、日産が不当な干渉を受けた場合、現在15・0%を保有するルノー株を25%以上まで買い増し、日本の会社法で議決権をなくすことができるとした。
また、ゴーン氏は仏政府が提案したとされる日産とルノーの合併について「時期尚早だ。まだやるべきことがある」と指摘した。2014年4月に研究・開発、購買などの4部門で実施した機能統合をさらに進め、「16年に新しいステップを発表する」と話した。
提携は、ゴーン氏が両社のトップを兼務することでバランスを保っているとの見方もある。だがゴーン氏は「将来は日産、ルノーともに1人ずつが経営にあたるのが妥当だ」とした。その上で後任の日産社長には「日本人が望ましい」と改めて語った。ただ、自身の去就については「日産、ルノーの株主の信任がある限り経営にあたりたい」と述べ、続投に意欲を示した。