トヨタがスズキとの提携を検討する背景には、中長期的には拡大が見込まれる新興国市場で思惑通りシェアを伸ばせていないことがある。ダイハツを完全子会社化し、懸案だったグループ戦略にも着手することで、トヨタは次の成長ステージに向け大きく動き出す。
世界販売台数や利益率で競合他社を圧倒するトヨタだが、弱点の一つが新興国だ。中国や南米ではライバルのVWやGMに差をつけられ、インドは現地向けに開発した小型車を投入したものの苦戦。対照的に現代自動車やホンダがシェアを伸ばし、劣勢が続く。
屋台骨の米国市場が好調なため、足元の業績は上向きだが、ひとたび変調すれば揺らぎかねない。「バランスの取れた持続的な成長」(トヨタ幹部)にはインドなど新興国でいかに地盤を築くかが課題だった。