事業相談に応じる岡崎ビジネスサポートセンターの秋元祥治センター長(左)=3月中旬、愛知県岡崎市【拡大】
中小企業の販路拡大や新製品開発を支援する動きが広がっている。静岡県富士市で成功している、中小企業のそれぞれの強みを生かす手法をモデルにした相談所が各地に次々と誕生。マニュアルや広告の作成といった業務を効率化するベンチャー企業のサービスも人気だ。政府は「地方創生」の一環として中小企業支援を打ち出しており、こうした取り組みが加速しそうだ。
「どんなところにこだわっていらっしゃるのですか」。3月中旬、愛知県岡崎市の公設民営の岡崎ビジネスサポートセンター「OKa-Biz(オカビズ)」。秋元祥治センター長が、事業相談に訪れた経営者に問い掛けた。経営上の問題点の指摘ではなく、その企業の強みを明確にすることを重視している。
企業のセールスポイントを伸ばしていく手法には2008年に開設された静岡県の富士市産業支援センター「f-Biz(エフビズ)」の小出宗昭センター長が着目。相談員は中小企業診断士などのほか、ITやデザインの専門家もおり、販売促進のためのインターネット活用法などを助言する。
オカビズはエフビズのモデルを受け継ぎ、岡崎市などが13年10月に開設。相談件数は月200件を超える。
白井石鹸(愛知県豊橋市)のケースでは相談員が無添加の製法に注目。乳幼児向けの商品を発売し、百貨店などに販路が広がった。同社三河営業所(岡崎市)の白井康雄所長は「包装や広告も相談員と一緒に考えたので、外注費など新たな費用は少なくて済んだ」と話す。
エフビズを手本にした相談所は岡崎市や熊本県天草市など全国6カ所で相次ぎ設立された。16年度中には岐阜県関市など少なくとも5自治体が開設する予定という。
業務効率化の新サービスも続々と登場し中小企業に人気だ。