「アイエスエイプラン」でリーダーに選ばれ、今年度の指導方針を同僚に説明する男性社員=4月下旬、東京都中央区【拡大】
インターネットサービスの急拡大に伴い、IT技術者の人手不足が深刻だ。システム開発などIT関連企業は社内制度の改革で離職を防いで人材を確保したり、海外への発注を増やしたりして対応している。技術者を育成する講座も就職活動のセールスポイントにしたい人たちから人気だ。
帰属意識高める
「私と一緒に充実感を味わえる時間をつくっていきましょう」
4月下旬、システム開発を受託する「アイエスエイプラン」(東京)の本社で、2016年度の「リーダー」に選ばれた社員10人が同僚約40人を前に指導方針について、それぞれ演説した。10年度から、社内の人間関係を深めるため、業務上の上司とは別に、指導や相談を担当するリーダーを自分たちで決める制度を導入した。
3年前、リーダー制度が魅力で同社への転職を決めた30代の男性社員は「システム開発では、取引先企業に数カ月間通って作業し、終われば次の取引先企業へ行くのが一般的。前の会社では知らない同僚がかなりいた」と話す。
会社への帰属意識が低い働き方に疑問を感じていた糸川淳一社長は「同僚と協力してより良いシステムの提案ができる強い組織にしたかった」と狙いを説明。離職率は制度導入前の15%前後から15年度には3%まで低下したという。
独立行政法人「情報処理推進機構」が15年度に実施した調査では、回答した1031社のうち、技術者が「大幅に不足している」「やや不足している」と感じる企業は計91.2%で、11年度に比べ26.5ポイント上昇した。