昨年6月に稼働した日本製紙八代工場のバイオマスボイラー=熊本県八代市【拡大】
素材各社が相次ぎ売電事業を強化している。再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の導入や電力小売りの自由化で販売機会が拡大しているのに加えて、人口減で本業の国内市場が縮小すると予想されることも取り組みを後押ししている。紙や鉄といった素材は生産に大量の電力が必要で、各社は多くを自前でまかなってきた。自家発電で培ったノウハウをいかし、新たな収益源に育てたい考えだ。
素材の中でも売電に積極的なのが製紙業界だ。最近は、木材チップなどの原料調達ノウハウを生かしつつ、木質バイオマス(生物資源)を使った発電に力を入れている。
日本製紙は2018年3月、300億円弱をかけて石巻工場(宮城県石巻市)に近い保有地で発電能力14万9000キロワットの火力発電所を稼働させる。石炭と木質バイオマスを燃料に使う仕組みで、来春にはタイの製紙大手とバイオマスの使用割合を高める新技術の実験にも乗り出す。
昨年6月には、八代工場(熊本県八代市)でも5000キロワットの発電所を稼働させた。関連事業では直近で年百数十億円を売り上げているが、中期的には500億円規模に増やす考え。