三菱ケミカルHDと旭化成が4月から一体運営するエチレン設備=岡山県倉敷市【拡大】
化学大手各社は、他社との差別化が容易で収益性も高い「機能商品」の育成を強化する。原油安の下で主力の石油化学事業の採算が改善。好業績を続けてきたが、先週、米国産標準油種(WTI)が一時1バレル=50ドルを突破したのに加え、国際的な業界再編も活発化し安穏としていられない。不安要素をはねのけようと、各社が先週までにまとめた中期経営計画には、得意とする機能商品推進が重点方針として盛り込まれた。
「低空飛行だったのが変わってきた」
東ソーが24日に開いた31年ぶりとなる中期計画の発表会。山本寿宣社長は、収益改善が着実に進んでいると強調した。
同社は2008年のリーマン・ショックや、11年に山口県の南陽事業所で起きた爆発火災事故の影響で業績が低迷したものの、15年度は営業利益が694億円と、10年ぶりに過去最高を更新。新中期計画では、最終年度の18年度に850億円まで増やす目標を掲げた。
今期は三菱ケミカルホールディングス、住友化学、旭化成、三井化学、宇部興産、東ソーの大手6社のうち、3カ年計画の3年目に入った三井化学を除く全社が新中期計画を始動。うち宇部興産を除く4社が、最終年度に過去最高の営業利益を目指す方針だ。