ニフティの沿革【拡大】
東証2部上場のインターネット接続事業者(ISP)老舗、ニフティが再び富士通の完全子会社になる。一時は売却を検討していたが、株式公開買い付け(TOB)で100%取得を目指し、上場廃止する。ただ、その後は事業を分割する方針。成長するニフティのクラウド事業部門を富士通本体に取り込んだうえで、基幹サービスながら低迷が続くISP事業は切り売りする可能性が高い。曲折を経たニフティ吸収劇の裏には、経営改革いまだ途上の富士通のジレンマが垣間見える。
狙いはクラウド
富士通は4月28日の2016年3月期決算会見で、現在66.59%の株式を保有するニフティに対して、5月2日から6月15日までを期限として、1株当たり1495円(4月28日の終値は1063円)でTOBを実施し、完全子会社にすると発表した。買収の目的について、田中達也社長は「一度、本体に戻して、製品、サービスを生かす」ためと説明したが、狙いはずばりニフティの「クラウド事業」だ。
ニフティが提供するクラウド事業は、会員減少が続くISPや収益性が低下しているウェブサービスなどのコンシューマー事業に代わる成長分野として期待されている。