【Ｂｉｚクリニック】アジア進出、事前準備・展示会活用を (2/2ページ)

　トラブルや無駄を避けるには、やはり市場、企業の事前調査が必要だ。支援者の質を見極められるし、相手も気合が入るので、１次窓口として然るべき紹介を得ることが可能となる。ＦＮＡグループの中国、タイ、ベトナムの例でも、無料を前提として相談に訪れるお客さまは下準備が甘いことが多く、回答もあいまいにならざるを得ない。事前に予算や期限を設けてあるケースは、当方も仕事が進めやすい。

　「市場調査」によって特定エリアや業界が分かった場合は、現地の展示会への出展を勧めたい。交通費・宿泊費を払って訪問するのなら、数十万円をプラスして出展することで事前準備に気合が入り、成果を得る可能性も高まる。開催国以外からの来訪者も多い。

　ＦＮＡは中国、タイで数百社規模の「ものづくり商談会」を開催するなど、これまで延べ３０００社を超える企業を支援している。展示会での成果の差は「事前準備の差」であることを強調しておきたい。

　どの展示会を選定するかについては、ジェトロのウェブサイト上の海外展示会紹介をお勧めしたい。中国、タイ、ベトナム、インドネシアの製造業であれば、ＦＮＡが出展や訪問を行っており、主要な展示会情報を絞り込んでいるので、有効な情報提供が可能だ。

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【プロフィル】井上直樹

　いのうえ・なおき　大阪市立大工卒。１９９２年日商岩井（現・双日）入社。２００３年メタルワンに移籍し、同社および三菱商事が出資するＮＣネットワークチャイナ設立のため中国駐在。０８年ＮＣチャイナ旧株主から事業譲渡を受け、香港にＦＮＡ設立。中国、タイ、ベトナム、日本に拠点を保有。４６歳。滋賀県出身。