百貨店大手4社の主要店舗が企画した2017年福袋は、旅行や健康づくりなど「体験型」が約120種類と、16年と比べ約3割増えた。景況感の悪化で衣料品を中心に需要が低迷して業界の苦境が鮮明となり、知恵比べが激しくなっている。訪日客の「爆買い」一巡に加え、国内中間層も節約志向を強めている。業界は「今のビジネスモデルでいいとは思っていない」(三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長)と受け止めており、一斉に「コト消費」へかじを切った形だ。
三越伊勢丹は、東京都心の基幹3店舗の福袋の品ぞろえを29から38に増やした。目玉は、伊勢丹新宿本店が手掛けたアニメ「きかんしゃトーマス」の蒸気機関車(SL)のツアー。静岡県の大井川鉄道と連携し、特別プランをつくった。
高島屋は、各店共通の福袋を3種類から8種類にした。著名ダンサーのSAMさんがプロデュースするダンスチームのメンバーになりイベントに出演できる企画を用意し、元気なシニアを呼び込む。
大丸東京店、同梅田店、松坂屋上野店の福袋は40種類から53種類に拡大。ホテルの食事券付きの人間ドックを受診できる大丸梅田店の福袋がユニークだ。そごう・西武は、西武池袋本店の屋上テラスで結婚披露宴を開ける福袋など、首都圏の主力3店舗で約20種類を売る。
地方や郊外店もアイデアを練り、個性のある福袋を打ち出す方針だ。