
NECが創薬事業に参入するため設立した「サイトリミック」の土肥俊社長(左)=19日、東京都千代田区(宇野貴文撮影)【拡大】
NECは19日、人工知能(AI)技術を活用して、がん治療薬を開発する事業に参入したと発表した。新たな治療法として注目される「ペプチドワクチン」を8年程度で実用化し、次世代の免疫治療に生かす。試験や製剤を手掛ける新会社を三井住友銀行グループなどと共同で設立した。
ペプチドはアミノ酸がつながった物質で、がん細胞を攻撃するキラー細胞を増やす効果がある。つながりのパターンは膨大な数に上り、がん細胞に有効かどうかは患者の白血球型によって異なるため、AIにパターンを高速で分析させ有効性を予測させる。
既に山口大や高知大との共同研究で、肝細胞がんや食道がんへの効果が期待でき、日本人の約85%に適用できるペプチドを発見した。新会社の「サイトリミック」(東京)が、一緒に投与してペプチドの効果を高める活性化剤の配合の研究や、安全を確認する臨床試験を実施し、製薬会社と協力して製品化する。NEC本体は新たなペプチドの発見に注力する。