■災害アプリ「ポケットシェルター」
社内スタッフわずか5人のベンチャーが開発した災害対策のスマートフォンアプリに、大手企業や自治体などからの熱い視線が注がれている。ポケットシェルター(東京都港区)の開発したアプリ「ポケットシェルター」は、災害でインターネットがつながらなくなっても、緊急地震速報と同時に自分の周辺の避難所を表示させる。東日本大震災や熊本地震の被災者の「地震が起きて(ネットが)オフラインになるとパニックになる。周りの安全な場所がわからなくなる」との声が開発のきっかけだったという。
◆緊急地震速報と連動
ポケットシェルター最大の特徴は、緊急地震速報と連動して避難所までの地図が表示される機能だ。大地震で最も被害を受けやすい高齢者をどう助けるかという考えから、スマホに不慣れな人にもわかりやすいように、文字と音声で案内する。男性幹部は「一番苦労したのはこの機能を開発する技術者探しだった」と明かす。
昨年夏頃、知人の大手携帯電話事業者のエンジニアに相談してみたが、「連動して地図を表示させるのは難しい」と断られた。別のエンジニアからも「半年程度の開発期間では難しい」と断られた。そんなとき知人から、望んでいるアプリが作れる可能性のあるアプリ制作会社を紹介してもらった。当初はそのエンジニアからも「1週間検討させてくれ」との返答だった。しかし、1週間後、チャレンジ精神旺盛な技術者からアプリ制作の承諾を受け、社内外の優秀な人材によるプロジェクトチームがついに立ち上がった。