【被災地へ 石油列車】元売りの団結が窮乏しのぐ 首都直下想定の連絡網活用 (1/3ページ)

2017.4.3 06:06

激しく炎を上げて燃え続けるコスモ石油の千葉精油所のLPガスタンク=2011年3月11日、本社チャーターヘリから
激しく炎を上げて燃え続けるコスモ石油の千葉精油所のLPガスタンク=2011年3月11日、本社チャーターヘリから【拡大】

 東日本大震災直後から沿岸部を中心に停電が広範に及び、病院では、人工呼吸器や人工透析装置など一時も止められない機器の稼働を自家発電で何とか維持する状況だった。自家発電設備の多くはA重油や軽油などが燃料。安全面やスペースの制約から大量保管が難しいため、ストックが底をつくのは時間の問題だった。

 民族系の意地

 鉄道での石油輸送計画が進められる中、深刻度を増していく被災地の石油不足にまず対応しようとしていたのは石油元売り業界だった。

 「え、そちらもだめですか」

 3月11日夜、東京・大手町の石油連盟(石連)。流通調査グループ長を務める小野森彦氏はこう言ってため息をついた。被災地から寄せられる石油供給の要請は、政府経由で石連にファクスで送られ、小野氏ら石連の職員が加盟する元売り企業と交渉する仕組みとなっていた。石連は2008年、東京都と首都直下型地震などの災害時を想定した石油供給協定を締結。この際に石連と各元売りとの緊急連絡網が整備され、迅速な対応を可能にしたという。

 大震災の被災地からは当初、「ガソリンを数十リットルほしい」といった小口の要請も多かった。それらは政府がより分けて別の業界団体に回し、石連では大口案件に絞って、タンクローリー輸送で対応することになった。

「混乱していて。申し訳ないが…」と断られるばかり

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