経営再建中の東芝は15日、平成29年3月期連結決算の最終損益が、9500億円の赤字になる見通しを発表した。米原子力子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の破綻処理を踏まえ、最終赤字幅が前期の2倍超に膨らむ。29年3月末時点で負債が資産を上回る債務超過の額は5400億円になる見通しで、危機的状況が改めて鮮明となった。
綱川智社長は同日記者会見し、監査法人の承認を受けた決算が発表できないことについて謝罪した。
東芝は米原子力事業をめぐって監査法人と意見が対立。東京証券取引所は決算期末から45日以内の決算短信の開示を求めているが、監査法人の承認が得られず、独自に試算した暫定値を示した。
27年に発覚した不正会計問題の影響で前期に計上した構造改革費用がなくなるなどから、営業損益は2700億円の黒字(前期は4830億円の赤字)に転換する見通し。WHを決算の連結対象外としたため、売上高は前期比5・6%減の4兆8700億円を見込む。
30年3月期の業績予想については、売上高は前期比3・5%減の4兆7千億円、営業損益は26・0%減の2千億円の黒字、最終損益は500億円の黒字を見込む。29年度内に半導体事業を売却し、債務超過を解消する予定だ。
6月末には監査法人の意見が不可欠とされる「有価証券報告書」の提出が迫っているが、監査法人との溝が埋まらなければ、大幅に遅れる可能性がある。