
コグニティの本社オフィス。マンションの一室を利用している=東京都品川区【拡大】
コツがつかめずに苦労するのがセールストーク。なかなかうまく説明できない-。ITベンチャーのコグニティが開発したサービス「UpSighter(アップ・サイター)」を使えば、そうした課題はすぐ解決できそうだ。
◆顧客満足度を高める
一言で表すと「客観的に話した内容を俯瞰(ふかん)できるサービス」(河野理愛最高経営責任者=CEO)だ。専用機で録音し、話の内容を分析。個人を対象とした個別解析レポート、組織全体を対象とした総合解析レポートを企業にフィードバックする。
個別レポートには「根拠となる事実情報」など9つの評価項目があり、チャート化する。平均点との比較で項目ごとの強弱を客観的に把握できる。さらに総合解析レポートでは、売り上げや顧客満足度の上位10人と下位10人との比較とともに、話し方の改善策も提案する。
もともと同社のテーマでもある「思考のバイアスを取り除く」ことをコンセプトにしたグループウエアの開発が発端だった。会議などでは、参加者が互いに話した内容を理解した上で合意することが求められるが、思い込みもある。河野CEOは「話した内容が可視化できれば、もっと円滑な意思疎通が図れる」と考えた。
設立2年目の2014年、グループウエアを発売したが全く売れず、その後あるユーザーの「このソフトの一部の機能を切り出して使いたい」との提案をきっかけに、解析機能を切り出した「アップ・サイター」が生まれた。
河野CEOは「身ぶり手ぶりなど会話の内容以外にも、理解度を左右する要素はある」と考え、両手がフリーになる接話型マイクを使って、身ぶり手ぶりやうなずき、首振りなどの動作も解析する実証実験にも取り組んでいる。