□PatentIsland・久野敦司社長
第4次産業革命を見据えて経済産業省産業構造審議会がまとめた「新産業構造ビジョン」で、日本にイノベーションを生み出す「リアルデータ・プラットフォーム」創出の重要性が指摘された。その可能性について知財・データ戦略の専門家であるPatentIsland(京都府亀岡市)の久野敦司社長に聞いた。
--リアルデータ・プラットフォームとは
「世の中にある膨大な数のデバイス(機器)から生成されるリアルデータを、収集から分析、アプリケーションへの供給までコントロールする仕組みだ」
--具体的には
「例えば車両の隊列走行制御は、膨大な数のセンシングデバイスが生成するリアルデータがインターネットを介してクラウドに収集・統合され、AI(人工知能)で分析された後、車両や交通信号機などを動かすアプリケーションへ供給され、実現する。実はリアルデータ・プラットフォームは外資系企業の得意分野で、日本企業が不得意なクラウドやAIの技術、ビジネス戦略を中心としたモデルとなっている」
--日本企業に不利ということか
「クラウド側に価値が集中する半面、デバイスやアプリケーション側の価値は、どこにでもあるねじやくぎのように部品扱いされる。国内産業の中核を担うモノづくりなどの事業者は将来、収益を落とすだろう。リアルデータ・プラットフォームの主導権を握る必要がある」
--問題点はどこに
「データ所有権が法制化されていないため、膨大な量のリアルデータが本来の所有者の手元を離れて無償で吸い上げられてしまう点にある。もしデータ所有権が認められれば、リアルデータの調達にも金銭面などの対価を受け取れる。それは巨額となり、外資系企業もこのモデルを維持することは困難になるはずだ」