経営再建中の東芝は28日、定時株主総会を千葉市の幕張メッセで開催した。平成29年3月期決算の報告を見送る異例の事態となったほか、焦点の1つの半導体子会社「東芝メモリ」の売却について、官民ファンドの産業革新機構を軸とした「日米韓連合」とは正式契約に至らず、優先交渉中と報告するにとどまった。株主からは「なぜ優良部門の半導体事業から切り売りするのか」など、強い口調で問いただす場面もあったが、開始から3時間を経過した午後1時過ぎに、全議題を可決し、終了した。
午前10時から始まった総会では綱川智社長が冒頭、「決算報告ができず株主さまに度重なるご迷惑をかけ、改めておわびいたします」と陳謝。壇上の役員も全員起立して頭を下げた。
東芝は、米原発大手ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の経営破綻(はたん)に伴って損失が膨らみ債務超過に陥った。主力の半導体事業を分社化し、売却益による経営再建を目指して日米韓連合と交渉を進めてきた。
総会直前の27日までに正式契約を締結して総会に示す方針だったが、東芝は28日午前、「現在も交渉中だ」と発表。総会でも交渉状況の報告にとどまった。