JR九州の青柳俊彦社長は27日、福岡市で記者会見し、九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)への導入の可否が取り沙汰されているフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)に関し「経済性をわれわれでも試算していく」とし、採用した場合に採算が取れるか検証していく考えを明らかにした。FGTの走行試験が中断されていることを踏まえ「走りが足りないという点で懸念している」と述べた。
新幹線区間と在来線区間の両方を走れるFGTをめぐっては、国の専門家委員会が走行試験再開の可否を初夏に判断する予定。JR九州は、これと並行してFGTの採算性を独自に検証し、導入可否の判断に役立てたい考え。FGTは開発が遅れており、事業者が負担することになる維持コストは通常の新幹線の2.5~3倍に上る可能性が指摘されている。
JR九州では、維持コスト高を理由に長崎ルートへのFGT導入を見送る案が浮上。長崎ルートは、在来線と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」による2022年度の暫定開業と、FGTを本格導入した25年度以降の全面開業を目指している。