大手損保、サイバー保険好調 16年度の合計契約3倍、1000件超え

 サイバー攻撃に対しての被害を補償する保険が好調だ。大手損害保険3社の2016年度の合計契約件数は1000件を超え、前年度と比べて3倍以上となった。世界的にサイバー攻撃による被害が増える中、中小企業にも警戒感が強まっていることが背景にあり、今後も市場拡大が期待されている。

 サイバー保険は、外部からの攻撃で情報が漏洩(ろうえい)した場合の賠償金や、機器が破壊された際の復旧費用などを補償する。東京海上日動火災保険が15年2月に国内大手として初めて発売。16年度の契約件数は前年度から約3倍に増えた。契約者には無料でサイバー攻撃への防御策を診断。予想される最大の損害を算定することで、セキュリティー意識の向上を促している。

 損保ジャパン日本興亜は、16年10月~17年3月の契約件数が前年同期から5倍に伸びた。昨年10月には中小企業専用のサイバー保険を発売。保険料を大企業向けより割安に設定し、入りやすいようにした。

 MS&ADホールディングスも16年度の契約件数は前年度から約3.7倍に増加した。ウイルスを感染させる「標的型メール」の被害に遭わないように、中小企業の従業員に対する訓練を無料で実施している。

 NPO法人「日本ネットワークセキュリティ協会」(東京)によると、サイバー保険関連市場は17年度は156億円となる見通し。今年5月中旬に発生したサイバー攻撃を契機に各社とも問い合わせが増加しているという。