■貸し金リスク「業者に丸投げ」
急拡大を続ける銀行カードローンに綻(ほころ)びが出始めた。銀行にとっておいしいビジネスモデルは、利用者の多重債務の温床と批判されるようになったからだ。その真相を探った。
「銀行だから安全だと思った」
静岡県内のパート男性(66)は低い声で、当時の心境をぽつりぽつりと絞り出すように打ち明けた。
「担当者も借りられるよう頑張ってくれ、そのときは『ありがとう』という気持ちだった」。だが、気づけば借金は1000万円まで積み上がっていた。昨年、静岡地裁で、借金を減額してもらう「個人再生」の手続きを取った。
サラ金なら手出さず
きっかけは約6年前、長男(24)の大学進学だった。教育ローンを手掛けている政府系金融機関から300万円を借りたのだ。金利は「2~3%程度」と低く、しかも返済は「4年後から」という好条件。返せるはずだった。