携帯各社が子供の利用を想定したスマートフォンや携帯電話の販売に力を入れている。大人向けのスマホ市場が飽和し、子供需要に照準を定めている。ただ子供のスマホ依存が問題になっており、家庭でのルール作りが今後の課題となる。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下のトーンモバイル(東京)は8月、午後10時から午前6時までの夜間は自動的にロックされ、使えなくなるスマホを発売した。スマホの使いすぎを心配する保護者の声を反映させた。
同社の石田宏樹社長は「(このスマホは)小学生向けを想定している」と明言し、保護者と子供が動画を見る時間などを取り決めるよう呼び掛けている。
内閣府が10~17歳を対象に実施した2016年度の調査によると、高校生の94.8%、中学生の51.7%が既にスマホを利用しているのに対して、小学生は27.0%にとどまっている。携帯各社は拡大の余地がある小学生向けに特に狙いを定めている。
NTTドコモなど大手3社も小学生に持たせることを想定したスマホや携帯電話を販売中だ。いずれも子供の居場所を保護者のスマホに知らせる機能が付いている。「小学生が欲しがっているというより、安心を求める保護者の都合に合わせている部分が大きい」(通信大手の販売店員)のが実情のようだ。
一方、歩きながらスマホを使っていて起きる事故や、使い過ぎによる夜更かしといった弊害は繰り返し指摘されている。米IT大手グーグルの子供向けアプリ担当者は「子供にお菓子を与えるのと一緒で保護者がルールを作ることが大切だ」と話している。