【高論卓説】「オープンイノベーション」成功の秘訣 (1/3ページ)

 ■ベンチャー企業を取り込む柔軟思考

 事業会社が社外のベンチャー企業などに投資する「コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)」活動が盛んである。日本の大企業は、これまでモノづくり、ハードウエア志向によって成功してきたため、デジタル・イノベーション(技術革新)を起こせるようなギークな(突出した知識才能のある)ソフト開発人材や開発環境に乏しい。

 このため、アップル、グーグル、アマゾン、セールスフォース・ドットコムなどの米国のITサービスが日本市場でシェアを伸ばしている。世界に通じるメード・イン・ジャパン製品が少なくなってきており、大企業がグローバルな競争に勝ち抜いていくためには、社外にデジタル・イノベーションを起こせる人材やテクノロジーを求めざるを得なくなっている。

 私は、大企業とベンチャー企業のマッチングを目的とするイノベーション・リーダーズ・サミット(ILS)にアドバイザーとして関与しているが、イベントは5回目を迎え、ますます参加企業が増えている。

 当初このイベントには、大企業からは、経営企画部や新規事業開発を担当する部署が窓口として参加していた。しかし、近年では事業部の担当者が参加するようになってきた。経営企画部や事業開発部は、イノベーションの旗振り役だが、大企業内の各事業部にも他社が持つ技術を組み合わせて革新的な研究開発や製品化につなげる「オープンイノベーション」の必要性に関する問題意識が浸透してきていることがうかがえる。

ライバル“共食い”でマーケット寡占