東芝、半導体売却 「日米韓連合」と契約締結 日本勢が経営権握る

 東芝は28日、半導体子会社「東芝メモリ」(東京)を米ファンドのベインキャピタルを中心とする「日米韓連合」に売却する契約を締結したと発表した。東芝とHOYAの日本勢で議決権の過半を保有して経営権を握る。関係各国に独占禁止法審査を申請し、上場維持のため来年3月末までの売却完了を目指す。協業先の米ウエスタン・デジタル(WD)との係争解消も急ぐ。

 韓国半導体大手SKハイニックスが取得できる議決権は10年間、15%以下に制限し、経営への関与を抑える。独禁法審査を通りやすくする狙いで、SKは東芝メモリの情報から遮断される。

 東芝は売却方針の表明から約7カ月でようやく契約にこぎ着け、再建へ前進した。10月24日に開催する臨時株主総会で承認を得る。

 東芝はベインなどが設立した買収目的会社に対して東芝メモリの全株式を2兆円で売却。この買収目的会社に再出資する形で東芝メモリの経営権を掌握する。

 出資額は東芝が3505億円、HOYAは270億円、ベインは2120億円。議決権ベースでみると、東芝が40.2%、HOYAが9.9%の計50.1%を保有する。残る49.9%はベインが持つ。

 このほか、買収目的会社にはアップルとデル、シーゲート・テクノロジー、キングストン・テクノロジーの米IT大手4社が議決権を持たない形で計4155億円を出す。主要取引銀行は計6000億円を融資する。SKは計3950億円を拠出して東芝メモリ株に転換できる権利を持つ。

 産業革新機構と日本政策投資銀行の政府系2社は当面出資しないが、東芝が議決権の3分の1超の行使を委ね、2社で重要な経営判断への「拒否権」を持つ。

 東芝は東芝メモリの売却による財務改善効果を7400億円と見込む。売却手続きが完了すれば、2017年3月末時点で5529億円だった債務超過を解消できる。