
学生を対象にしたプロジェクションマッピングのコンペ=2017年12月、東京都江東区【拡大】
歴史的建造物などに映像を投影する「プロジェクションマッピング」をイベントに活用して集客を狙う地方自治体や企業が増えている。東京五輪・パラリンピックに向けて需要は右肩上がりで拡大しそうだが、映像制作を担う人材が不足しており、育成が課題だ。
福島県では東日本大震災からの復興を願い、2013年から会津若松市や白河市の城や公園でプロジェクションマッピングのイベントを毎年開催している。白河市の観光課担当者は「県内外の人に観光名所を知ってもらうきっかけになっている」と話す。
17年3月には、関門海峡を挟んだ山口県下関市と北九州市が、両岸の建物にそれぞれ海峡を渡った偉人たちを紹介などする映像を投影した。長野県茅野市の老舗ホテル「白樺リゾート池の平ホテル」では6月から、映像投影が楽しめる露天風呂を常設した。福岡市の商業施設では、噴水と掛け合わせ、アニメ「ワンピース」などのショーを毎日観賞でき、観光の呼び水となっている。
調査会社の富士キメラ総研は「20年の東京五輪・パラリンピックに向けて、関連イベントでプロジェクションマッピングの需要が高まる」と予想。21年までの年平均成長率は7.6%を見込んでおり、制作現場では人手不足が深刻化しそうだ。
映像制作大手の「ピクス」(東京)などは若手人材を取り込もうと、16年から学生対象のコンペを始めた。17年12月のコンペには千葉大や大阪芸術大などの学生が参加し、多くの観客を前に作品を競った。若手の登竜門として今後も毎年開く方針だ。