内視鏡カメラ 8K映像でがん細胞だけ摘出 カイロス・千葉敏雄会長

8K内視鏡カメラを開発した千葉敏雄さん
8K内視鏡カメラを開発した千葉敏雄さん【拡大】

 肉眼では見えない縫合糸が、普通の糸のようにモニターに映し出された。顕微鏡でおなかをのぞいたように錯覚する。連結しているのは超高精細映像8Kの内視鏡カメラで、患者のがん細胞を摘出する手術。このカメラの共同開発に成功し、昨秋から販売を始めた。

 普及している内視鏡は視力1.1レベルの2K。カイロス(東京都千代田区)の千葉俊雄会長らが開発した8Kの視力は4.27に匹敵する。赤血球より小さな細胞まで見分けられ、正常な細胞を傷つけず、がん細胞だけを摘出できるという。

 千葉さんは江戸時代、伊達藩の家老の医師を務めた家系。夢は考古学者だったが、両親の勧めで東北大医学部へ進む。医師の責任の重さがやりがいに変わった。母校の小児外科医局長を経て、1997年に米カリフォルニア大サンフランシスコ校の胎児治療センターで客員助教授に。「まだ内視鏡の精度が低く、子供を息絶えさせた悔いが消えない」

 臓器を鮮明に映す内視鏡がないなら、自分で手掛けよう-。10年ほど前、NHK放送技術研究所で8Kスーパーハイビジョンの開発を指揮した当時の谷岡健吉所長の知己を得る。町工場の奮闘を描き、ドラマ化された小説「下町ロケット」のように小さなメーカーと開発チームをつくった。

 当初、80キロもあったカメラは5キロまで軽くなっていたが、チームはさらに370グラムに軽量化できた。千葉さんは「社名の『カイロス』はギリシャ語でチャンスの意味。このカメラが一人でも多くの命を救えれば」と話している。