【視点】初詣より「えべっさん」 北も、モノづくりも、爆買いも、頼んまっせ (1/3ページ)

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 □産経新聞論説委員・鹿間孝一

 「正月がすむとすぐ十日戎(えびす)である。今宮の戎前から難波の入堀(いりぼり)川に面したお蔵跡まで十丁あまりの間にずっと子宝店その外の店が出て、揉(も)み返すような人ごみである。其中を圧され圧されて来る色町のほい駕籠(かご)を見に出た記憶が消えない」

 民俗学者で、釈迢空の名で歌人としても知られる折口信夫(おりくち・しのぶ)(1887~1953年)の「十日戎」と題した一文である。

 折口は大阪市浪速区の今宮戎神社にほど近い場所で生まれ育った。少年時代の折口には、芸者衆を乗せて参詣する「ほい駕籠」が、大人の世界をのぞき見るようで、よほど印象深かったのだろう。「揉み返すような人ごみ」という表現に、当時のにぎわいがうかがえる。

 大阪のお正月といえば、「えべっさん」である。1月10日の本えびすをはさんで、前日の宵えびす、翌日の残り福の3日間に、参拝客もお賽銭(さいせん)も、初詣より多い。

 神社側も、吉兆笹を授ける「福娘」のコンテストを催したり、えびす神社の総本山である西宮神社の一番福を目指して境内を駆け抜ける「福男」選び競争など、さまざまにイベント化して盛り上げている。

 「えべっさん」ほど東西の違いを感じさせるものはない。

 東京などでは七福神巡りが盛んで、戎(恵比須)さんも他の6神と同列の扱いだが、関西では別格である。なぜなら商売繁盛の神様だからだ。

今年も「えべっさん」にお願いしたいことは多い