資源エネ・公共インフラ…地銀、海外事業融資に注力

海外融資に注力する千葉銀行
海外融資に注力する千葉銀行【拡大】

 地方銀行が海外の資源エネルギーや公共インフラといった大型プロジェクトへの融資に力を入れている。日銀の大規模金融緩和で国内は低金利が続いていることに加え、インフラ整備のための資金需要がアジアや中東などで拡大していることが背景にあり、国際協力銀行(JBIC)も支援を強めている。新興国に進出する国内の中小企業に地銀とJBICが協調して融資する例も、4年間で約4倍に増えた。

 JBICによると、米国での液化天然ガス(LNG)開発プロジェクトに対し、2014年に実行された総額約74億ドル(約8200億円)の協調融資に千葉銀行や静岡銀行が参加した。

 17年には、トルコで最大規模となる総合病院を手掛ける企業への総額1630億円の協調融資に伊予銀行が加わった。

 一方、稼働後の海外プロジェクトの債権を地銀が買い取る例もある。群馬銀行、千葉銀、伊予銀の3行は16年、アジアで展開する電力事業会社の債権を買い取った。利息収入が狙いで、千葉銀の担当者は「日系企業が関連する海外事業に関わることで収益機会の幅を広げたい」と期待する。

 JBICは地銀の海外プロジェクトへの参加を増やそうと、15年度からセミナーを開催している。審査やリスク回避の手法など、基礎から実例まで説明し、理解を深めてもらうのが狙いで「地銀は従来、言語や地政学リスクの面で海外への融資には慎重な姿勢だったが、セミナーを通じて意欲が高まっている」(広報)という。

 海外のプロジェクト向けだけではなく、経済成長が続く新興国に進出する国内の中堅・中小企業に対し、地銀とJBICが協調して融資するケースも増えている。現在のJBICが発足した12年度は8件だったが、16年度は33件と伸びた。工業製品や食品を扱う企業など業種もさまざまだ。