NTTデータが開発した最新版の仮想現実(VR)技術を使った打撃練習システムについて、来季から米大リーグの1チームが導入することを決めた。打者が投手の投げるボールを仮想体験することで、試合でのパフォーマンス向上を目指す。VR関連ビジネスが拡大する中、スポーツへの活用事例はまだわずか。NTTデータはこの技術などを基に、さまざまなスポーツに展開するなど、スポーツとVR技術を駆使した仕組みを検討していく方針だ。
球筋を忠実に再現
昨年12月中旬、米フロリダ州で開催された大リーグのウインターミーティング会場。NTTデータが公開したVRの打撃練習システムは、来場者から注目を集めた。
このシステムは、ゴーグル型のVR端末とパソコンで構成され、ユーザーがVR端末を装着すると眼前に360度の球場映像が出現し、足元には長方形のバッターボックスも見える。枠内に立つと、正面のマウンドに立つ投手がボールを投げる。ストレート、カーブ、シュート…。球種もバラエティーに富む。実在する投手の動きや球筋を忠実に再現しており、臨場感満載だ。
NTTデータと楽天は2016年に実証実験を行い、翌年から本格運用を始めた。選手にとっては、試合前に投手の球筋やスピードを確認できるメリットがある。選手の中には、苦手投手の投球を何度も再現して、攻略の糸口をつかんだこともあったという。