
国産初のジェット旅客機MRJの試験機=2017年3月、愛知県営名古屋空港【拡大】
国産初のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」を開発中の三菱航空機は26日、米イースタン航空が注文した40機(購入権含む)のキャンセルが確定したことを明らかにした。キャンセルは初めて。今回の契約解消で受注は計407機となった。MRJの開発は遅れており、他の航空会社にキャンセルの動きが波及する可能性もある。(井田通人)
三菱航空機は、平成26年にイースタン航空と契約。しかしイースタン航空が経営危機に陥り、米スウィフト航空に事業譲渡されたため、契約継続をめぐり協議を進めていた。
スウィフト航空はイースタン航空の契約を引き継がなかったという。三菱航空機によると、他にキャンセルが出る可能性は低く、MRJの事業計画にも変更はないとしている。
親会社である三菱重工業の宮永俊一社長は昨年末の記者会見で、イースタン航空がキャンセルしても「MRJの開発遅延が原因ではないと思う」と説明していた。
もっとも、MRJはすでに5度も納入を延期。ローンチカスタマー(初号機の顧客)であるANAホールディングスへの納入時期は32年半ばと、当初計画の25年から大幅にずれ込んでいる。納入が遅れるほど、航空会社の機材計画は狂い、経営に影響が出るため、これ以上待つのは難しい。開発費が当初想定の2倍以上となる約5千億円に膨らむ中、しびれを切らした航空会社のキャンセルが相次げば、事業継続すら危うい。