広がる?AIで銀行業務 電機大手が次々提案 取引先紹介、書類不備チェック…

 電機大手が人工知能(AI)で銀行業務の効率化を提案する動きが広がっている。日立製作所は山口銀行と同行の取引先をビジネスマッチング候補としてAIで抽出する実証実験を先月に開始。三菱電機はAIが銀行書類の不備をチェックするシステムを年内に商品化する。超低金利で銀行の収益環境は厳しさを増し、業務効率化が不可欠なことを商機と捉え、最新のデジタル技術を売り込む。

 日立は、山口銀行が持つ地場企業の事業データや帝国データバンクの信用調査データをAIで分析し、日立の鉄道車両製造工場(山口県下松市)の調達先候補を抽出する実証実験を始めた。まず、AIがマッチング成立の可能性が高い条件を導き出し、この条件への地場企業の適合性を点数化して、マッチングの提案を行う仕組みだ。

 銀行が顧客に取引先企業を紹介するビジネスマッチングは、企業ニーズを的確に把握し、最適候補を選ぶのに多くの経験やスキルが必要だ。AIを活用すれば、個人に依存せずに最適な候補を効率的に抽出できる。日立は「今回の結果を踏まえ、ビジネスマッチング支援サービスの展開を検討する」方針だ。

 三菱電機は銀行などが窓口で受け付けた書類の記載内容をカメラで撮影してAIが判別し、不備の有無をチェックするシステムを実証実験中で、年内の発売を目指している。書類チェックの作業時間を「手作業と比べ5分の1に短縮できる」(同社)。さらに、ロボットアームが識別した書類を仕分けする仕組みも開発中だという。

 一方、東芝は横浜銀行など6行向けに、ネット上でAIによる音声対話で相続相談ができるサービスを展開する。ネット上でAIが利用者の質問や課題を把握して回答し、店舗を訪問する回数を減らす。東芝は今後「相続相談以外にもローンや保険相談などのサービスも展開したい」考えだ。

 電機大手のAIを活用したサービスは、これまで工場での生産効率化の支援など製造業向けが主体だったが、AI技術の革新を踏まえ、今後は金融機関向けなど幅広い産業向けの提案が本格化する見通しだ。