【ピックアップ】RCPG、依存問題テーマにセミナー

当日は「ギャンブル等依存」に対する正確な理解を促し、適切な対応の方向性を示した
当日は「ギャンブル等依存」に対する正確な理解を促し、適切な対応の方向性を示した【拡大】

 統合的な学術的知見に基づきギャンブル等依存問題に対する必要かつ適正な対策を行う団体として専門家らで組織する一般社団法人RCPG(代表理事・西村直之氏)は2月28日、東京都千代田区のTKPガーデンシティPREMIUM神保町で「『Responsible Gaming研究会』発足記念 2018・第1回RCPGセミナー」を開催した。

 第1回セミナーのタイトルは「全ての関係者に絶対知ってほしいギャンブル依存問題の全体像」。当日は基調講演3題を用意したほか、「ギャンブル依存問題をどう受け止めるべきか?何をすべきか?」についてパネルディスカッションを行った。

 冒頭、笠井英史副代表はあいさつで「そもそもギャンブル等依存症は病名ではなく政策用語。しかし、思い描く意味や受け止め方は一人一人異なり、千差万別の状況。これが複雑にさせてしまっている要因ではないか」と指摘。「本日は一つ一つひもといて、本当の意味での取り組み方について意識を統一したい」と述べた。

 当日の基調講演で「Problem Gamblingの理解から始める」「何だ!Responsible Gamingって?」の2テーマを担当した西村代表は、世界には診断基準として「ギャンブル依存症」という病名は存在しておらず、これに置き換わるのはProblem Gambling(ギャンブリング障害)という言葉であると説明。対策の障壁となっているのは用語と定義であり、定義も何もない調査でギャンブル等依存症が発表され、誤解が議論を阻害していく実情を憂慮した。

 また、いまだにギャンブル等依存症の呪縛にとらわれた状況に警鐘を鳴らしつつ、「IR実施法が国を挙げて取り組まれている今こそ、依存問題を世界標準として認識できる絶好の機会」と強調。CSR(企業の社会的責任)を例に引きながらResponsible Gaming(責任あるゲーミング)の考え方を説明するとともに、これと同様の視点のもと、ベクトルを合わせる連携づくりが必要だと提言した。

 パネルディスカッションでは、西村代表をコーディネーターに、朝倉崇文氏(北里大学東病院精神神経科特任助教、元内閣官房特定複合観光施設区域整備推進本部参事官補佐)、平安良雄氏(横浜市立大学大学院医学研究科精神医学部門主任教授)、高橋洋平氏(高橋洋平弁護士事務所)、稲村厚氏(認定NPO法人ワンデーポート理事長、司法書士)の4人のパネリストが登壇。各専門分野から意見を出し合い、ギャンブル依存問題に対して取り組むべき切り口を鮮明にした。