
日本製紙は洋紙事業を再編し、バイオマス発電事業などに注力する。バイオマス発電所が稼働する八代工場=熊本県八代市【拡大】
日本製紙は28日、不振の洋紙事業を再編するため、北海道や静岡県にある国内計8機の抄紙機を停止すると発表した。バイオマス発電事業や家庭紙といった成長分野に力を入れる。関連する従業員約350人については、配置転換で雇用を維持するという。
これにより2019年3月期連結決算で約200億円の特別損失を計上し、最終損益が前期の78億円の黒字から180億円の赤字に転落する見通しだ。赤字は東日本大震災の影響が大きかった12年3月期以来7年ぶりとなる。
抄紙機は紙を連続的にすく生産設備。再編の対象となるのは3拠点で、北海道工場勇払事業所(北海道苫小牧市)の全4機を20年1月に停止する。跡地をバイオマス発電事業などの新規事業に活用する。
釧路工場(北海道釧路市)では1機を19年7月に停止する。新聞用紙の生産拠点だが需要が減っており、効率を上げる。
富士工場(静岡県富士市)の全3機は19年3月から9月にかけて停止し、家庭紙事業の生産拠点に転換する。
日本製紙は既に秋田工場(秋田市)と石巻工場(宮城県石巻市)で、カタログなどに使う塗工紙を生産する塗工機をそれぞれ1機ずつ停止するなど、生産体制の見直しを進めている。塗工機と抄紙機の停止により、全体の18%に相当する年間約76万トンの能力削減となり、約110億円の収益改善が見込めるとしている。
野沢徹取締役常務執行役員は記者会見で「需要の減少が想定を上回っている。強いところを伸ばさなければいけない」と強調した。