
東京工業大などが開発した全固体電池【拡大】
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は15日、電気自動車(EV)普及の鍵を握るとされる次世代電池「全固体電池」の実用化に向け、2期目の研究開発を始めたと発表した。自動車大手や電池メーカーなどと連携し、2022年度までに短時間充電で長距離走行が可能なEVを実現するための基盤技術を開発。世界的なEVシフトで電池技術の開発競争が激化する中、オールジャパンで競争優位を確保する。
産学官で進める2期目の研究開発は約100億円を投じ22年度までの5カ年計画で始動。参画企業は材料メーカー約10社で進めた1期目の開発陣容を23社に大幅拡充。トヨタ自動車や日産自動車のほか、GSユアサやパナソニックなどの電池メーカーも加わった。
開発では少ない電池でも航続距離を稼げるよう、電池の基本性能の一つ「エネルギー密度」を、現在主流のリチウムイオン電池の3倍に相当する1リットル当たり600ワット時まで向上。さらに10分で急速充電が完了できるようにするほか、製造コストも低減。電池評価技術の国際標準化も目指す方針だ。
全固体電池はリチウムイオン電池の電解液を固体にしたもので、液漏れや発火の恐れが少ないほか、航続距離の長さでも優位性がある。
このため、EV市場攻略に欠かせない本命電池として注目を集め、中韓や欧州勢などが猛攻に出ている。
NEDO蓄電池技術開発室長の細井敬氏は「産業界で設計手法を共有し、世界で勝てる電池を30年ごろに市場に出せるようにしたい」と述べた。