マンション地震損害で損保協会長、共同で調査する方式を検討


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 日本損害保険協会の会長に就任した損害保険ジャパン日本興亜の西沢敬二社長は29日会見し、マンションの地震損害を損保各社が「共同で調査する方式を検討している」ことを明らかにした。現在は入居者ごとに加入している損保会社が個別に調査するため保険金の査定に時間がかかっている。共同調査で査定の効率を上げ、迅速な保険金支払いを目指す。

 共同調査のスキームは、損保会社1社に1棟丸ごとの査定を委ねて地域ごとに担当を分ける案や、各社で構成する共同チームを設置して査定する案などが浮上している。「監督官庁や関係省庁と慎重に検討する」としているが、1年以内の実現を視野に入れる。

 地震保険の損害調査の効率化をめぐっては、昨年1月に損保各社が共通で利用できるタブレット端末向けの調査用アプリを導入した。損害調査書の自動生成機能などを備えているが、契約情報の手入力が必要であるなど、「使い勝手に課題がある」として、全社の契約データの取り込みなども進める考えだ。

 また損保協会は同日、大阪北部地震による地震保険の事故受付件数(同保険を取り扱う31社合計)が25日時点で5万4212件になったと発表した。2016年4月の熊本地震の際は同時期の事故受付件数は約6万8000件だった。各社の調査は継続中であり、「全体でどれくらいになるかはまだ見えていないが、件数はこれからさらに大きくなる」との見方を示した。