「第32回先端技術大賞」授賞式 宮坂力氏記念講演(2-2)「研究開発はあきらめずに」 (1/3ページ)

「第32回独創性を拓く先端技術大賞」授賞式で記念講演する桐蔭横浜大学医用工学部の宮坂力特任教授(右端)=7月11日、東京・元赤坂の明治記念館(酒巻俊介撮影)
「第32回独創性を拓く先端技術大賞」授賞式で記念講演する桐蔭横浜大学医用工学部の宮坂力特任教授(右端)=7月11日、東京・元赤坂の明治記念館(酒巻俊介撮影)【拡大】

 薄くてフレキシブルで軽量 弱い光でも発電

 現在ではエネルギー変換効率はシリコンに追いつくくらいの22~23%台まで上がってきました。シリコンや半導体を研究している先生方から見れば、シリコンや半導体は純度が99.99999と9が7つくらいつく純度のもの、あるいは真空蒸着で薄膜をつくるわけですが、ぺロブスカイトは原料を溶液に溶かして塗って乾かすだけでできます。写真に使うハロゲン化銀が青や緑、赤をそれぞれ吸収するのは、ハロゲンの種類を変えてチューニングするためですが、ぺロブスカイトもまさにそれができます。ヨウ素を入れるとほとんど黒くなり、臭素を入れると緑を吸収してオレンジ色になります。塩素を入れるとほとんど色が見えなくなるというように、色をチューニングできます。しかも、0.5ミクロンの厚さでほとんど光を吸収しますので薄いセルをつくることができます。最近、私どもがつくったのはプラスチックフィルムに塗って乾かしたもので、セルのトータルの厚さが126ミクロンです。フレキシブルで曲げることもできます。しかも、ぺロブスカイトの光吸収層はサングラスのような褐色をしており、窓に貼れば向こう側が透けて見えます。このためステンドグラスのようなカラフルなデザインが作れます。効率がシリコンに近く、非常に薄くてフレキシブルで軽いものができる。また色味を変えるデザイン性がある、といういいことずくめです。

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