
会見する日本自動車工業会の豊田章男会長=20日、東京都港区【拡大】
日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は20日、東京都内で定例会見を開き、自動車保有者の税負担について「世界一高いレベルだ」と述べ、2019年度税制改正で政府・与党に抜本改革を求める考えを示した。また、来年10月予定の消費税増税が、国内需要を30万台押し下げる懸念があると指摘。業界が電動化や自動運転などの変革期を迎える中、米国は輸入車への追加関税を検討。山積する課題に対応するためにも国内市場活性化が重要で、障害となる税負担の重さに危機感をあらわにした。
豊田氏は「自動車産業の在り方が大きく変わる時代なので、抜本的な税制改正に取り組んでいただきたい」と求めた。自工会の要望書は(1)自動車税の引き下げ(2)消費税率引き上げによる自動車ユーザーのさらなる税負担増の回避-の2つを柱としている。
消費税率の10%への引き上げによる影響について豊田氏は、三菱総合研究所の試算を引用し、30万台の需要減、経済効果マイナス2兆円、9万人の雇用減につながる可能性があると述べた。過去の事例としては1997年に3%から5%に引き上げられた際は「国内需要が101万台ほど減り、二度とそれ以前のレベルに戻っていない」と危機感を示した。
トランプ米政権が検討する追加関税に関し、「日系メーカーは半世紀以上米国への投資を続け、雇用を創出してきた」と米経済への貢献を強調したが、自工会としての具体的な対応策については言及を避けた。