【道標】災害が浮き彫りにした病巣 もろい電力集中、効率重視の見直しを (1/3ページ)


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 9月4日に西日本を襲った台風21号による関西空港の冠水、そして6日に起きた北海道の地震による大停電。2つの災害が浮き彫りにしたのは、電気に頼る社会の脆弱(ぜいじゃく)さが被害を拡大し、長期化させるという現代社会の病巣だ。

 関西空港は台風による高潮で浸水し停電、さらに漂流したタンカーが対岸を結ぶ連絡橋を損傷した。利用客ら約8000人が一晩空港島内に取り残される事態となった。

 停電は第1ターミナルビル地下1階にあった電源施設が水に漬かったためだ。ビルの一部再開まで10日もかかり、全面復旧はまだ先だ。そもそも浸水リスクのある場所に、空港の心臓部とも言える電源施設を配置したことが正しかったのか検証すべきだろう。

 近畿地方では関西空港に集中している国際空港の機能が大きく損なわれた。この結果、インバウンド(訪日外国人客)が急減し、航空貨物も取り扱えなくなり、経済に悪影響を与えている。

 北海道では、震度7を記録した地震の直後に道内全域が停電した。ブラックアウトの理由は、震源近くの北海道電力の苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所(厚真町)がストップしたためだ。燃料が石炭で発電コストが低いことから、電力供給の半分強を担わせていたことが裏目に出た。

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