
試合中にバイン・コーチと話す大坂なおみ(右)=9月23日(撮影・中井誠)【拡大】
全米オープンテニス女子シングルスで優勝した大坂なおみ選手のコーチ、サーシャ・ベイン氏の言動に注目が集まっている。大坂選手が苦境に陥る度に、駆け寄り、大坂選手の目線に合わせてかがんで、「君ならできる」「君は間違っていない」と声をかけている。一方、日本の女子体操では選手を殴るコーチの動画が公開されるなどパワーハラスメント事件が起きている。両極端の事例だ。
ビジネスにおいても、同様のケースに接する。部下の気持ちをくみ取って部下を巻き込んでいく巻き込み型のリーダーシップを発揮した方がよいか、上司が指示・命令して部下にやらせるトップダウン型のリーダーシップを発揮した方がよいかという問題は、議論が分かれる点だ。
巻き込み型に抵抗感を持つ人もいる。「リーダーたるもの確固たる指針を打ち出して部下に徹底させるべきだ」「そもそも上司の職務は、部下に指示・命令することだ」という考え方をしている人が少なくない。しかし、巻き込み型であろうと、トップダウン型であろうと、成果が上がりやすい方をリーダーが繰り出せばよいのではないか。実施したいことに合わせて、巻き込み型かトップダウン型かを使い分けていくのだ。
「コンプライアンスを順守する」「システムのエラーをつぶす」「品質の瑕疵(かし)を解消する」。そうしたアクションに対しては、誰が何と言おうとトップダウンで徹底しなければならない。しかし、「方針をどのように実現するか」「問題をどのように解決するか」「品質を向上させる手法は何か」ということを見いだしたいなら、巻き込み型のリーダーシップによってメンバーそれぞれがもっている考えや知恵や工夫をくみ取っていく方が成果をもたらしやすい。