パナ、社名変更から10年 「脱家電」への転換手探り、ブランド浸透との両立課題 (1/3ページ)

 パナソニックが松下電器産業から社名を変更して今月で10年となった。創業者の故松下幸之助氏の名を冠した看板を下ろし、グローバル時代をにらんだ取り組みは一定の成果を収め、売上高に占める海外の比率も5割を超えた。ただブランド価値の向上は道半ばで、自動車分野などを今後の成長の柱に据える「脱家電」戦略への転換もあり、手探りが続いている。

パナソニック本社=大阪府門真市

パナソニック本社=大阪府門真市

 サムスン電子と差

 JR大阪駅北側の「ヨドバシカメラマルチメディア梅田」。家電売り場にはパナソニックブランドのエアコンや洗濯機、冷蔵庫が並ぶ。2008年の社名変更とともに「ナショナル」ブランドが廃止された直後は「ナショナルのままが良かった」などと惜しむ声も聞かれたが、今では「パナソニックは安定した人気ブランドで、消費者の信頼も厚い」と売り場責任者の遠藤綾一さんは言う。

 社名変更は当時の大坪文雄社長がグローバルでのブランド力の向上を目的に踏み切った。系列販売店も「ナショナルショップ」から「パナソニックショップ」になるなど大変革となったが、10年がたち、国内では着実に浸透が進んでいる。

 ただ国内市場は少子高齢化や製品の普及もあり、市場が伸び悩んでいるのが実情だ。パナソニックは海外市場の開拓に活路を見いだそうとしているが、安価な人件費や巨額投資を武器に韓国や中国勢が立ちはだかる。

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